角質のメラニンの大嘘ABOUT MELANOCYTES
黒人の垢は黒いか?
「メラニンも含む不要な角質を落とし・・・」というキャッチフレーズ、良く耳にしますよね。
角質の中のメラニンが黒ければ、確かに美白効果はありそうなんだけど・・・でも、シミよりもメラニンの濃い、黒人の剥がれ落ちる角質(垢)は、はたして黒いのでしょうか?
いえいえ、黄色人種の日本人の垢が黄色ではなく白いのと同じく、黒人の角質も白いのです。メラニンが黒いのは、画像の通り基底層の部分だけ。角質細胞が上に上がっていくにつれ、メラニンは透明に還元されているのです。
ただし、すごく日焼けした時だけは、何重にも紫外線からのフィルターを張ろうとするので、還元されずに上層部まで黒いまま。そのため、日焼けした時に剥がれる角質だけは、色が付いているのです。
ちなみに、あるメーカーの美容部員が、コットンに角質除去の化粧液を付けて、手の甲を拭くというデモンストレーションをして、コットンが黒くなったのを見せて「角質のメラニンが取れましたよ」なんてやっているそうですが、あれはただの手の汚れでございます。
角質を除去しても美白にならないの?
そんなわけで、「古い角質に含まれるメラニンを除去して美白」という理論は、全くの大嘘。透明なメラニンを除去したところで、まったく美白効果はありません。
それどころか、角質除去のやりすぎは、クスミの原因にもなります。なぜなら角質を除去しすぎると、炎症を起こして赤みが増してきます。ニキビを真っ赤に炎症させると黒く痕が残るように、日焼けして赤くすると黒くなるように、角質除去で頬を赤くしてしまうと、メラノサイトが刺激を受けて、クスミやすくなるというわけ。
資生堂の美白商品で、歯磨きにも含まれる消炎剤(m-トラネキサム酸)を配合させた「HAKU」が大ヒットしていますが、その通り、炎症を抑えた方が美白になりますね。
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(クレアボー1999「角質層ケア」より抜粋)
美白ユーザーは、美白化粧品やケミカルピーリングに「リセット願望」を抱いているのだと思います。たとえばメラニンを含むいらない角質を取り除くという固形石鹸や、拭き取りタイプの角質除去化粧品・・・。
これらは美白ユーザーの「リセット願望」にうまくはまり、本来、美白効果が無いのに美白として大ヒットしたのだと思います。
その一方で、角質を取りすぎることによるトラブルも発生し、肌が過敏になったり深刻な乾燥を訴える人が増えてきました。特に目新しいものに飛びつきやすい20代の女性に多く見られ、「最近の若い人はベリードライ肌用ばかり買っていく」このような話を化粧品メーカーの方からよく聞きます。
そのような傾向のせいかこの秋冬は、むやみに角質を取り除くのではなく、角質を大切にしようという発想が強くなりました。資生堂やコーセー、花王からは細胞間脂質の生成と働きを高めて、バリア機能を回復させるコンセプトの基礎化粧品が発売され、このような製品は、美白やケミカルピーリングのような強いインパクトはありませんが「まじめな化粧品」として、私たちマスコミは好意的に見ています。
美容ライター 奈部川 貴子
紛らわしいキャッチコピーの商品は?
「メラニンも含んだ不要な角質を取って・・・」というキャッチコピーは、全く美白効果がないどころか逆効果。
しかし、JAROでは大手化粧品メーカーの人たちが審査をしていますので、JAROに言ったところで「透明なメラニンは含まれているので問題なし」と門前払いになることでしょう。
この紛らわしいキャッチコピーが、パッケージに書かれている商品は・・・
資生堂
- オードブランケーク
- オードピュア
- ホワイティア パーフェクトクリアオイル
- ホワイティア クリアリングジェル
- ホワイティア クレンジングフォーム
カネボウ
- ブランシール ウォッシュコンディショナー
- フェアクレア パワーオブクリア
- プレシャスターン クリアローション
コーセー
- 精肌晶
- 精肌晶 クレンジングオイル
- 精肌晶 クリアローション
- 精肌晶 パーフェクトクリアジェル
- 精肌晶 ホワイトニングマスク
- ホワイティスト クリアウォッシュ
美白化粧水の中でもロングセラーの商品たち(資生堂オードブラン、カネボウ・クリアコンディショナー、コーセー雪肌精)などには角質除去効果はなく、またこの手のキャッチコピーが付いていないことがメーカーの唯一の良心ということでしょうか。
文責:中原 浩